食品添加物に対する市民の関心は強く、さまざまな物質が話題になります。その中でも最近、関心が高まっているのが「二酸化チタン」です。世界各国で白色の着色料として広く使われてきましたが、欧州食品安全機関(EFSA)が2021年、「遺伝毒性の懸念を排除できない」と評価し、欧州連合(EU)で2022年、食品添加物としての使用が禁止されました。一方、英国やカナダ、オーストラリア・ニュージーランドは、EFSAの評価なども踏まえて検討しましたが、EFSAの見解を支持せず、これらの国では使われ続けています。また、二酸化チタンは、医薬品の添加剤としても使われており、EUも医薬品への使用は継続して認めています。
こうした世界の状況を受け、厚生労働省が科学者らに委託した調査や研究の内容について、2023年7月の厚生労働省食品衛生分科会食品添加物部会で審議されました。その結果について、2023年9月の内閣府食品安全委員会添加物専門調査会で報告されました。同調査会は11月、二酸化チタンの安全性について議論し、「現在の知見からヒトの健康に安全上の懸念を示唆する根拠はなく、食品添加物として使用する程度の量であれば、特に問題ない」という意見に集約されました。
同調査会の専門家が、関連する学術論文、EFSAや他国の機関の報告書などを精査しての判断ですが、EUは禁止なのに、と不安を覚える人もいるでしょう。そこで、食品安全委員会で食品添加物を担当する川西徹委員に詳しく解説していただくことにしました。
(インタビュアー:松永和紀委員)
https://www.fsc.go.jp/foodsafetyinfo_map/nisankatitan_kaisetu.html