Communication Center for Food and Health Science/特定非営利活動法人食品保健科学情報交流協議会
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電力事情の悪化に対する取組みについて
2011年8月4日

 平成23年夏季における電力事情の悪化に対応する食品衛生への取り組みについて 
    (提案 その2)

「計画停電時の飲食店における食品衛生への取り組みから」
 東日本大震災及びこれに伴う津波並びに原発事故を原因とし電力事情が悪化し、東北や関東地方で計画停電が実施された。結果的には無計画な計画停電であり、これが、食品衛生上、経営上大きなリスクを抱える結果となりました。飲食店における問題点については特に食品衛生上、「冷蔵庫、冷凍庫の温度確保の困難」及び「加熱調理上の問題」の2点が重要であった。原発問題の議論が進む中で、電力事情の悪化、さらに計画停電が示唆されている、そこで、これへの対応内容を検討しました。
この結果を、第2回として下記のとおり対策について、提案いたします。
                         記
T 飲食店営業における電力事情の悪化による影響
飲食業においては、「理運営基準」、「大量調理施設衛生管理マニュアル」、「弁当そうざいの衛生規範」等に基づき運営し、安全の確保を図ってきたが、電力事情の悪化により以下のように食品の保管管理のみならず、調理そのものへの影響が考えられる。
    1、 原材料、調理済み食品の保管の温度管理が困難
    2、 適切な加熱、適切な冷却を行うことが困難
    3、 調理の需給のバランス確保が困難
    4、 空調・喚起の停止による室温の上昇

U 飲食店における3時間計画停電があった場合のリスクと対策
先に実施された計画停電時の飲食店での問題点を「食品の保存」と「加熱殺菌」という調理における重点項目について検証した。
1、食品衛生上の問題点
(1) 冷蔵庫、冷凍庫の温度確保困難について
  庫内温度の上昇による食材の表面・中心の温度の上昇が確認された。 
@ 食中毒の危険性の増加
  停電時間が長くなれば冷蔵庫等が十分に機能せず、食中毒予防の3原則のうち「ふやさない」のポイントである温度管理ができなくなり、細菌(微生物)の増殖の可能性が高まり、状況により食中毒発生の可能性が大となる。 
A 食品の保存期限の短縮による食材廃棄と流通対応の変更
  スタンバイと呼ばれるコールドテーブルや引き出し冷蔵庫に出した冷蔵品等は長時間保存を前提としていないために廃棄せざるを得ないと認識する。
また、冷蔵庫・冷凍庫内の食材も本来の保存性を担保できなくなると判断すべきである。さらに、セントラルキッチン等から各店舗に食材を届ける場合、時間帯にも問題が発生するために、流通対応にも変更が必要になる。
   食材に問題が起こった場合の当該品の廃棄にかかる経費は、停電の都度に発生するものと考え、安全上必要なことになる。
B 食品の高騰 品薄の発生
   廃棄量が多くなればそれだけ品物を補充して用意しなければならない。このことの直接的経費もかかり、さらに量的にも過剰に求めることが予想され、原料の高騰に影響することが予想される。しかし、消費者のためには献立の変更があっても、このことを理由に値上げすることは困難と思われる。
C 法的要件と今後の徹底の問題
   冷蔵機能が停止し、外気温の影響を受け、原材料等が法的な基準などに定められている保管条件に適合しない状態が発生する可能性が高くなる。
   一方、仮に食中毒の危険性が高いときに温度管理の曖昧さを容認すれば、食中毒の危険性が高まるばかりか、今まで積み上げてきた自主管理自体の崩壊が懸念され消費者の信頼を失うことになる。

(2) 加熱調理器等の問題について
不適切な加熱による食中毒発生の危険性とこれに対応する安全対策のため実質上の営業時間が短縮となる。
@ 加熱不十分または加熱し過ぎの商品を提供する恐れの問題
飲食店舗において加熱調理をする場合、加熱調理器具は予め所定の温度に設定し、商品ごとに調理時間を調節する。しかし、停電復旧直後では直ちに所定の温度に設定することが困難となり、適度な加熱調理ができない。 このため、ハンバーグや加工肉の提供では、温度設定が確認されずに調理すると生焼けや焼けすぎの問題の発生が懸念される。 
A 実質の営業時間が短縮され、これによる売り上げ提言の問題
計画停電に備えて、設備備品等の機械故障や復旧時の機械装置への負荷を抑える必要がある。                         先に実施された地域停電開始時刻(開始時間にずれがある)での事例から、例えば、停電開始前の電源OFFと停電復旧後の所定のチェック及び加熱温度の確保をするためには停電時刻+1時間の時間が必要であり、仮に2時間の停電実施でも結果的に4時間は営業ができないことになる。
電子機器の停止によるオペレーション全体の停止を回復するための時間及び設定の確認の要する時間など業務再開までの時間的経過がある。このことからも、計画停電時間がランチタイムやディナータイムであれば営業損失は非常に大きなものになる。

2、対策案
(1) 国及び電力事業者に対して、万が一にも、計画停電を実施する場合には、その時間を短縮することを要望する。
最長2時間を限度とするように要請する 
食品の安全を確保し、営業を継続するために非常に大きなポイントで、一般的に食品事業者が計画的停電に協力をするために我慢できる範囲とできない範囲の境目が2時間と認識されている。
(6月9日東電発表資料では最長2時間となったところであるが)

(2) 外食産業や食品・食材を供給する事業者では、自社の工場・店舗に対しては、停電時の冷蔵庫・冷凍庫温度を確保する対策を行うこと。
@ 設定温度確保と冷蔵庫パッキン等の補修をこまめに行い、保冷カーテンの設置による冷気逃げを防止する。
A 作業時の扉開閉作業を軽減するとともに、迅速対応を習慣化する。
B  蓄冷剤の確保と緊急使用への準備をしておき、危険性の高い食材に使用することなど蓄冷剤の使用方法の統一をはかる。
C 普段からの冷却効率を確保するためにフィルター等清掃を実施する。
D 温度管理が不適切な場合は食材の廃棄等を余儀なくされるので、店舗のスタンバイ冷蔵庫における保管量を少量化にし、管理し易くする。
E 解凍を前提として、冷凍品の最高許容範囲を上げての温度管理を一定温度まで許可する。ただし、使用時・保管時における品質確認を強化する。
F 湯煎品の温度確保を一定温度まで下げての使用を許可する。

(3)食品事業者として、食中毒を起こさないために、加熱調理等に当たってはいかなる状況に際しても、食品の安全と品質の確保を検討したうえで、確実に実施することが基本であることを確認すること。

                                                                           以上

食科協では、この問題について、提案を継続することとしております。
本件に関するご意見・ご質問等は、Fax又はE-mailによりお願いします。

             特定非営利活動法人食品保健科学情報交流協議会
(電力事情悪化対応策に関する検討会)
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